★ 秋の星座神話(エチオピア王家の物語) ★
【アンドロメダ座】【ケフェウス座】【カシオペア座】
これは古代エチオピア王家にまつわる物語です。ケフェウス王がエチオピアの国を治めていた頃、ケフェウス王と王妃カシオペアとの間には、アンドロメダという名のたいへん美しい娘がおりました。
二人はアンドロメダ姫がかわいくてなりませんでした。特にお母さんのカシオペアは、
「私の娘は世界で一番美しいわ。海の神につかえる娘たちは美しいっていうけれど、アンドロメダの方がずっと上よ」といつも自慢をしておりました。
この自慢話は、海神ポセイドンの耳にも届いてしまったから、さあ大変。自分のかわいがっている娘たちをけなされたポセイドンは、カンカンに怒りました。
【くじら座】
「人間のくせになんと生意気な!思い知らせてやる!!」
ポセイドンは恐ろしい化けクジラをエチオピアに送り、大暴れさせました。それからというもの、エチオピアの海は荒れて、海岸を大津波がおそいました。家々は流されて、大勢の人が死んでしまったのです。ケフェウス王は神殿で、なぜこんなひどい事になったのか神々にたずねました。すると、
「海の神が怒っている。この怒りを沈めるには、娘のアンドロメダ姫を化けクジラの生けにえとして差し出さなければならない。」
というお告げが返ってきたのです。
ケフェウス王は悩みました。
ところが、このお告げを聞いた人々が宮殿に押しかけてアンドロメダ姫をさらい、海岸の大きな岩に縛りつけてしまったのです
。 やがて遠くの海が大きく盛りあがり、化けクジラが姿を現しました。化けクジラはアンドロメダ姫を目指して突進してきます。アンドロメダは、あまりの恐ろしさに気絶しそうになりました。
「あぁ!もうおしまいだわ・・・」
とアンドロメダが思ったそのときです。
【ペルセウス座】【ペガスス座】
空から馬のいななきが聞こえてきました。見上げると、そこには天馬ペガススにまたがったギリシャの英雄・ペルセウスがいました。ペルセウスは怪物メドゥーサを退治して、自分の国へ帰る途中だったのです。美しいお姫様が化けクジラに襲われそうになっているのを見つけ、ペルセウスは急いで駆け降りてきて、持っていたメドゥーサの首を化けクジラにつきつけました。メドゥーサは、その顔を見た者はすべて石になるという恐ろしい怪物なのです。さすがの化けクジラもこれにはたまりません。あっという間に巨大な石になり、海の底へと沈んでしまいました。
無事に助けられたアンドロメダは、その後ペルセウスと結婚し、幸せな生涯を送ったといわれています。
明るい星が少なく寂しげに見える秋の星空ですが、エチオピア王家の物語を思い浮かべながらの星座探しは楽しいものです。
まずは、下の図の秋の四辺形(ペガスス座の四辺形)を見つけます。次は四辺形の四つの辺を使います。西側の辺を北にのばすと、「W」の形をしたカシオペア座から北極星へ、また、南にのばすと、化けクジラのしっぽの星デネブカイトスへとぶつかります。東側の辺を北にのばすと五角形をしたケフェウス座の頂点の星から北極星へ、また、南にのばすと、エチオピア王家の物語とは関係ありませんが、秋の星空ただ一つの1等星南のうお座のフォーマルハウトへとぶつかります。北側の辺を西へのばすとアンドロメダ座の星々がほぼまっすぐにつらなり、そのまま西ににのばすと、「人」の字の形をしたペルセウス座を見つけるることができます。
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北 |
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西 |

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東 |
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南 |
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秋の星空でアンドロメダ姫は岩に鎖で両手を繋がれた姿で、また、勇者ペルセウスは右手で剣を振り上げ、左手でメドゥーサの首を持った姿で二人仲良く並び、天を駆ける白馬ペガススを従えています。そして、傍らにはアンドロメダ姫の母、王妃カシオペヤ座、父の国王ケフェウスも並び、さらに化けクジラまでも「くじら座」となって南の空に広がります。
ちなみに、メドゥーサの額に輝くペルセウス座の「アルゴル」とくじらの心臓にあたるくじら座の「ミラ」は明るさが変わる星、「変光星」です。
ペルセウス座のアルゴルは食変光星と呼ばれ、連星が周期的に回りあって隠しあうことによって変光します。アルゴルは約2.87日の周期で2.3等星から3.5等星の範囲で変光します。
また、くじら座のミラは脈動変光星と呼ばれ、一つの星全体が膨張したり収縮することによって変光します。ミラは332日の周期で2.5等星から10.5等星まで変光しますが、周期も変光範囲もあいまいです。