★ 星座神話 ★

【ペガスス座】

 メドゥーサ退治の後、ペガススはペルセウスとともにアンドロメダ姫の危機を 救い、二人をダナエの待つ島に送り届けました。 そして、ペルセウスの傍を離れ、神々の住むオリンポス山に送られ、しばらく の間、大神ゼウスに仕えていましたが、その後、女神アテーナ(ペルセウスに、 メドゥーサ退治の方法を教えた女神/前々号)に飼われ、さらにアテーナは友人 の音楽の女神ムーサイにペガススを譲りました。 こうして、ペガススは、ムーサイと一緒に詩人の集まるピレーネの泉でゆったり と暮らすことになりました。
 さて、その頃、地上界では、山羊の体にライオンの首を持ち、尾は口から火を 噴く蛇でできている怪物キメーラが大暴れしていました。 そのキメーラ退治にコリント王の息子ベレロフォーンが指名されました。ベレロフォーンは不安でした。キメーラを本当に退治できるのだろうか? 彼の武器は、得意の弓矢しかありません。出発のとき予言者に占ってもらうと、
 「女神アテーナに頼んで、天馬ペガススを手に入れるのだ。ペガススがいれば、 必ず勝てる!」と教えられました。
 かつて、ペルセウスがしたように、彼もまた女神アテーナに祈りを捧げました。 やがてアテーナが現れ、
 「あなたに天馬を操る金のくつわを授けよう。ピレーネ の泉でペガススが来るのを待つのだ。」とお告げがありました。
 彼は教えられた通り泉で待っていると、大空から純白の羽根を広げペガススが 舞い降りてきました。 ベレロフォーンは、ペガススに駆け寄りアテーナから授かった金のくつわを付け ました。その間、ペガススはおとなしくしており、付け終えると彼を背に乗せ、 キメーラの棲む谷へと飛び立ちました。天馬と若者の姿を目にしたキメーラは、ひときわ大きな炎を上げながら、一気 に攻め込んできました。しかしベレロフォーンは決して谷には下りませんでした。 適度な距離を保ちながら、大空から弓矢を次々と放ったのです。 やがてそのうちの一本がキメーラの体を貫通しました。キメーラは大きな悲鳴を あげ、もがき苦しみましたが、やがて息絶えてしまいました。
 こうして手柄をたてたベレロフォーンでしたが、その後、ますます武勇ぶった 行動をとるようになり、やがて、神をもないがしろにするようになってしまいま した。折角の勇士でも、それでは許されません。 彼がペガススに乗って大空を飛んでいるとき、大神ゼウスは、一匹のアブを放ち ました。アブはペガススの腹をチクリと刺すと、ペガススは驚いてベレロフォーンを振 り落としてしまいました。彼は大地に叩きつけられ、あっけないみじめな最後を 遂げてしまったということです。