★ 星座神話 ★
【ペルセウス座】
アンドロメダ姫の危機を寸前のところで救ったのがペルセウスです。
ペルセウスが最大の武器として用いたメドゥーサの首とは、一体何でしょうか?
アルゴスの王アクリシオスには、ダナエと言う一人娘しかいなく、男の子が欲
しいと神にお伺いをかけました。しかし神は、「お前はやがて自分の孫に殺される事になるであろう」と、予期
せぬ恐ろしいお告げを下したのです。男の子どころではありません。孫ということはダナエの子供に殺されると言う
ことです。おびえた王は、ダナエに結婚させないように、青銅の塔に押し込め、
一歩も外に出られないようにしてしまいました。しかし以前からダナエの美しさにみとれていた大神ゼウスは黄金の雨となって降り注ぎ、小窓から侵入してダナエに金髪の美しい男の子を産ませてしまったの
です。男の子はペルセウスと名付けられました。
さあ、それを知った王は慌てました。
「何と言うことだ!」 王はダナエとペルセウスを箱に閉じ込めると、急いで海に流してしまいました。
やがて箱はある島に流れ着き、島民に救われ、15年の歳月が過ぎました。
赤ん坊だったペルセウスも、武術にもスポーツにも優れた青年に成長しました。ある日、島の王が催す酒席で、皆がそれぞれ王に貢物を献上しました。
しかし、貧しいペルセウスには何も献上するものがありません。
そこで彼は、王の前で「メドゥーサの首を献上いたします」と言ったのです。
メドゥーサとは、ゴルゴンの3姉妹の一人で、髪の毛の一本一本が生きている
蛇という非常に不気味な魔女で、その恐ろしい顔を見たものは全て石に変わって
しまうという大変な怪物です。ダナエに恋心を抱き、ペルセウスを疎ましく思っていた島の王は、それは幸い
な事と、
「わかった。期待を裏切るのではないぞ!」と、到底勝ち目のない冒険に
出発させたのです。
「誰も知らないメドゥーサの退治の仕方を私に教えて下さい。」
ペルセウスは懸命にアテナ女神に祈りました。すると、伝令神ヘルメスが現れ、
鏡のように輝く楯を与えてくれました。そして、
「メドゥーサの顔は、この楯に 映して進め。決して直接顔を見てはならない。近くまで進んだら、ためらわずに
剣で首をはねよ。メドゥーサの居場所は、グライアイの三老婆が知っている。」
と教えてくれました。グライアイというのは、一つの目玉と一つの歯を三人の老婆が代わる代わる使
い合っているという不気味な怪物です。ペルセウスは、そんな三老婆に会って尋ねましたが、元々意地悪な老婆たちは
一向に答えてくれません。仕方なく彼は、目と歯を譲り合う瞬間にそれを取り上げてしまいました。
目と歯を取られると非常に困ります。老婆たちは仕方なく、メドゥーサの棲む島
への行き方を教えてくれました。
途中、金のリンゴを守るニンフ達から空を飛べる羽根の生えた靴と頭にかぶる
と体が見えなくなる兜をもらい、メドゥーサの棲む大海の果てオケアノスに向か
いました。
島に着くと、ゴルゴンの3姉妹は岩場で眠っていました。
その中からメドゥーサを見つけると、兜をかぶり、楯に姿を映しながら注意深く
近寄って行きました。ところが気配に気づいたのか、髪の蛇たちが一斉に鎌首を立ち上げました。
そして、メドゥーサも両眼をカッと見開きましが、その瞬間、ペルセウスの剣は
真っ直ぐに振り落とされ、メドゥーサの首は転がり落ちました。いそいで、生首を皮の袋に入れると、翼のついた靴で空に飛び上がりました。
物音で他の姉妹も目を覚ましましたが兜をかぶったペルセウスの姿は見えません。ほとばしったメドゥーサの血から、純白の羽根を持つペガススが現れ、ペルセ
ウスを背に乗せ、さらに大空高く飛び上がりました。
こうして帰途につく途中、空の上からアンドロメダの危機を目にし、ペガスス
とともにエチオピアの海岸に降り立ち、彼女を救い出したのです。
さて島に戻ると、王から身を隠すため、ダナエは祭壇の中に隠れ、怯えきって
いました。 怒ったペルセウスは、王とそのしもべたちに、 「さあ、約束のメドゥーサの首だ」
と高々と生首を振りかざしたのです。
まともにその顔を見てしまった王たちは、たちまち石に変わってしまいました。
その後ペルセウスは、母ダナエと妻アンドロメダを伴って、祖父アクリシオス
を訪ねますが、怯えたアクリシオスは逃げ出してしまいました。
会ってもらえない以上、仕方ありません。そうして、月日が流れました。
ある日、ペルセウスはギリシャの北部で行われた競技大会に出場し、円盤投げを
行っていました。ところが手元が狂って、円盤が観客席に飛び込んでしまったの
です。円盤はなんと観客にまぎれて観戦していたアクリシオスに当たり、神のお告げ
通り、彼は死んでしまいました。それを知ったペルセウスは、深く悲しみ祖父をいつまでも手厚く葬ったと言わ
れています。