★ 星座神話 ★

【おとめ座】
 農業の神デーメーテールには、ぺルセポネという美しいひとり娘(むすめ)がいました。
 ある日、ペルセポネは草原で花つみをしている時、遠くの方に1本のめずらしい花がさいているのを見つけました。 とてもきれいなその花に心をうばわれたペルセポネは、その花をとろうと両手を伸ばしました。すると、突然(とつぜん)大地がさけ、その中から馬車をひくひとりの男が出てきました。 そして、すばやく馬車からおりてきて、ぺルセポネをだきかかえると、あっという間に地面の中へ消えていってしまいました。
 ぺルセポネがさらわれたことを知ったデーメーテールは、一睡(いっすい)もせず飲まず食わずでペルセポネをさがしあるきました。10日たったとき、冥土(めいど)の神プルートンがぺルセポネを后(きさき)にするために、さらっていったと聞きました。 デーメ−テールはいかりと悲しみのために、洞穴(どうくつ)にとじこもって姿(すがた)をあらわさなくなりました。
 農業の女神であるデーメーテールが洞穴にもぐって姿を見せないため、地上の草木はすっかりかれ、人々の食べるものも少なくなってしまいました。
 心配した大神ゼウスは、このままでは生き物がみんな死んでしまうと思い、プルートンに、ペルセポネを母親のデーメーテールのところへ帰すよう命じました。 プルートンは仕方なくペルセポネを帰すことにしましたが、その時、彼女(かのじょ)にあかくうれたザクロの実を4つわたしました。 ペルセポネを乗せた馬車は風のように走って、デーメーテールのもとへ向かいました。
 やがて、目の前に地上の光が見えてくると、ペルセポネは安心してプルートンからもらったザクロの実を食べてしまいました。 ペルセポネがデーメーテールの元へ帰ってくると、かれていた草木もみるみるうちに緑色にかわったのです。 しかし、ペルセポネからザクロを食べてしまったことを聞いたデーメーテールはがっかりしました。そのザクロの実を食べたものは、かならず地下の国へもどってこなければならなかったのです。
 しかし、ゼウスの力で1年のうち4ヶ月間はプルートンと、のこりの8ヶ月間はデーメーテールとくらすことになりました。 ペルセポネがプルートンとくらしている4ヶ月間は、デーメーテールは洞穴にもぐってしまうのでこの間だけは地上の草木はかれ、「冬」がやってくるのです。