★ 星座神話 ★

【みずがめ座】

  みずがめ座は、Aquarius(アクエリアス)と呼びますが、この言葉には、「水を運ぶ男」という意味があり、古代エジプト、古代アラビアでは、雨季を知らせる重要な星座とされていました。
 さて、昔、トロイのイーダ山に、羊飼いの美青年がいました。名をガニメーデスといい、永遠の美と若さを持つ体は、黄金色に輝いて見えたと言われています。
 そもそも、神々の住むオリンポス神殿では、酒宴のとき、大神ゼウスと妃ヘーラの娘へーべがお酌をつとめていました。しかし、ヘーベがヘラクレスの妻となったので、その代役を探さなくてはならなくなりました。ある日、雲上からガニメーデスを見た大神ゼウスは、オリンポスに連れてきたいと考え、黒鷲に姿を変えトロイのイーダ山に向かいました。何も知らずに、いつも通り、羊の番をしていたガニメーデスに大空から黒鷲が舞い降り、彼を鷲掴みにすると、空高く飛び去っていきました。
 オリンポスの宮殿に連れて来られたガニメーデスは、夜ごと催される酒宴で、お酌をして回る役につきましたが、それが神々の間では評判で、彼はさらに不老不死の体を頂く事になりました。
 突然、息子を無くしたガニメーデスの両親は、暗く気持ちの沈んだ日々を送っていましたが、ある日、羽根の生えた帽子をかぶり、蛇の巻きついた棒を持った若者(伝令神ヘルメス)が大空から舞い降り、「心配するな。ガニメーデスは、ゼウス様に大切にされ、多くの神々にも愛され、神と同じ不老不死の体となって、幸せに暮らしている。安心するように。」と話しました。
 その言葉に元気付けられたのか、両親の悲しみの涙も、喜びの涙に変わっていったと伝えられています。
 みずがめ座は、そんなガニメーデスの姿をかたどった星座です。また、わし座は、ガニメーデスをさらうときのゼウスの姿であるともいわれています。