★ 星座神話 ★

【北斗と南斗】

 昔、中国では、北斗は「死」を司り、南斗は「生」を司る神だと信じられていました。すなわち、人が生まれるときに、北斗の神と南斗の神が話し合い、その人の寿命を記帳していくというわけです 
 魏の国に管輅(かんろ)という人相を見る達人がおりました。5月のある日、管輅が南陽の郊外を歩いていた時、畑で無邪気に遊ぶ子供の顔を見て、
 「ふびんだが、この子は二十歳まで生きられない。」とつぶやきました。
 驚いた父親は、
 「どうか、子供の寿命が延びる方法を教えて下さい。」と管輅に懇願しました。すると管輅は、
 「上等な酒と鹿肉を持って麦畑の南のはしにある桑の木のところに行くが良い。2人の仙人が碁を打っているから、ただ黙って酒と肉を勧めるのだ。」と言いました。
 父親とその子は、言われた通り桑の木のところに行くと2人の仙人が碁を打っていたので、言われたとおり、酒と肉を勧めました。仙人たちは一局すんで、酒と肉を勧めたのが傍の農夫と子供であることにようやく気付きました。
 北側に座っていた仙人は 
 「なぜ、ここに来たのか。」と怒鳴りましたが、父親とその子は、恐れ入り、ただ頭を下げながら拝み続けました。すると、南側に座っていた仙人が
 「まあまあ、飲み食いもしてしまったことでもあるし…。」と言って、寿命帳を調べ、そこに記されていた「十九歳」という文字を、ひっくり返して「九十歳」としてくれました。
 二人は大喜びして管輅のもとに帰り、事の次第を告げると、
 「北側に座っていた仙人が北斗で死を司り、南側に座っていた仙人が南斗で生を司る神なのだ。」と言い残し、お礼も受けとらずに立ち去って行きました。
 北斗の老人は、おおぐま座のしっぽの部分になる「北斗七星」、南斗の老人は、いて座が持つ弓の部分にあたる「南斗六星」です。

←南                            西                           北→